2009年9月 8日
分類学のタイプ寄託・保管
動植物ではタイプ、特にホロタイプは公開可能な状態でハーバリウム(herbarium)や博物館に保存され、細心の注意の元に保管されるべきである旨が勧告されている(ICBN13 勧告7A1)。そのため、新種記載を行った研究者はそのタイプをこれらの機関に寄託するのが普通である。特に博物館にとっては、このような標本の管理は重要な役割の一つである。西洋では古くから、博物館や植物園が主導的に世界中の生物標本を集め、保管する役割を果たし、生物の分類学の進歩に大きく寄与した。しかし、日本ではそのような伝統が育っていないため、標本が個人管理の下で、場合によっては博物館所蔵の下にあっても粗雑な扱いを受ける例が少なくない。
また、先述のように特にヨーロッパ、次いで北米諸国がその博物学的な伝統の下に、世界の多くの国々の生物のタイプを保存してきた。このことは、翻って考えると、欧米以外の国において自国や近隣地域の生物相の研究を独自に進めるようになった場合、参考にすべき標本が遠隔地にあることを意味する。日本においても、江戸時代後期から多くの生物標本がオランダを通じてヨーロッパに運ばれ、また明治時代になっても来日した欧米の博物学者によって日本で採集された標本に基づいて種々の日本産生物が記載された。そのために、日本産の種でもヨーロッパやアメリカに出かけなくては新たな分類学的研究が進められない分類群が大半を占め、日本における分類学研究の大きな足かせとなっている。
細菌類では、ホロタイプをしかるべき微生物株保存機関に寄託することが義務づけられている(ICNB1990)。世界各国の保存機関は互いに協力してホロタイプを複数の機関に保存しており、研究・教育機関がどこの国にあってもホロタイプのクローンの分譲を受けることができる。
新種を発表する場合、上記のようにタイプを指定し、それらに基づいてその種の特徴を説明し、他種との違いを述べた論文、すなわち原記載を発表する。生物を同定する場合、本来的にはこのタイプ、厳密にはホロタイプとなっている個体と同種であるとみなすことでその決定が行われるのであるから、検討対象の標本とタイプを直接比較することによってその判断が決定されることがもっとも望ましいあり方である。
しかしながら、動物や植物では基本的にホロタイプは世界に1つしか存在しない。種の同定を行おうとする世界中の人々すべてがその都度タイプと手持ちの標本を比較して同定するのは非現実的である。そこで、現実の同定作業の大半は、原記載論文の記載文や記載図との比較、もしくは原記載をもとにした総説論文(モノグラフ)やそれを要約した種々の同定用資料(図鑑もその一つ)をもとに行われる。一方細菌の場合には、ホロタイプを純粋培養して得た細胞をホロタイプと同等のものとみなすことができるので、微生物株保存機関からその株の分譲を受けて、直接比較に用いることができる。
『ウィキペディア(Wikipedia)』引用
タイプとは分類学で新しく発見した生物を定義するための標本や図解のことです。
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